【書き起こしレポート】AIで越える2025年の崖 ~ものづくり経営のデジタルシフト(1/3)
AI×生産管理システム、広がる無限の可能性(1/3)
本レポートは、生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場」シリーズの開発メーカーである株式会社エクス様(以下、エクス)が2020年8月4日(火)に開催したオンラインセミナーにて、エクスの代表取締役社長 抱(かかえ)氏と、弊社代表 内村によるテーマ対談を全文書き起こししたものです。
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日本企業が迎える2025年の崖
抱氏(以下、抱):内村社長、ありがとうございます。今日の対談、楽しみにしておりました。
今日は「AI×生産管理システム、広がる無限の可能性」というテーマです。我々が生産管理システムを、内村社長がAIの開発をしております。昨今、AI、IoT、VR……最新のテクノロジーの進歩は、指数関数的といいますか、レイ・カーツワイルはそれを収穫加速の法則なんて呼んでいますが、非常に急速に発展を遂げています。
製造業では2012年にドイツで「インダストリー4.0」「第4次産業革命」という新しいコンセプトが登場しまして、ものづくり経営の中にAI・IoTの参画が求められている状態です。
その中でサイバーフィジカルシステム(CPS)といいまして、このサイバー、いわゆるコンピューターの世界とフィジカルの世界、これをさらにコンピューターを区切れば、データを供給するフィジカルである生産管理システムをIoTとして、AIがサイバーです。これらをリンクさせていく中で、新しいものづくり経営の形が求められると考えています。
生産管理システムは、発生するデータを統括したり、AIの方に供給するデータを準備すると、役割というものも大きく変わりつつあるんではないかと考えます。その中で、スカイディスクさんとご縁をいただきまして、今日の対談に至ることになりました。
また、日本の企業については「2025年の崖」が去年、経済産業省からDXレポートとして発表されました。
2025年までに日本の60%の企業が21年以上のレガシーなシステムを使い続けると、12兆円の経済損失が出ます。そして、そのレガシーから脱出できなかった企業は、2025年以降も競争力を失ってくる、というショッキングなレポートが出ました。その2025年の崖を越えていく中では、ひとつ我々はAI×生産管理システムが、大きなツール、デジタルトランスフォーメーションを進めていく道具になるんじゃないかなと考えています。
今日はその3つの中から、第1回目ですので包括的なテーマを3つ選びました。
1つ目が「全ての機能はサービスで提供される」です。
2つ目は「データ中心のデジタルシフト」です。
3つ目は「バリューチェーン全体の統制」です。
1つ目、2つ目は内村社長の方からこのお題をいただきました。
では早速なんですけども、限られた時間ですので、1つ目の「全ての機能はサービスで提供される」。これについて内村社長、ご説明をお願いします。
全ての機能はサービスで提供される
内村:今、抱社長からもお話があった「2025年の崖」ですけれども。これは、製造業以外の企業様も含まれますが、国内各社が使っている基幹システムは、個々の企業に合わせてカスタマイズして作られてるケースが非常に多いんですね。
そんなシステムが開発から20年以上経過すると、中身を知ってる人がどんどん減ってしまいます。自社内だけではなく、システムを開発してくれた、いわゆるベンダーさんの中にもいなくなり、そうなると誰も保守運用できない状態になって、もしトラブルが起きたりすると対応できなくなってしまう。これが、この経産省がDXレポートの中で掲げている、端的な内容です。
今回のテーマである「全ての機能はサービスで提供される」ですが、今SaaSと言われる、ソフトウェア・アズ・ア・サービスの略ですけれども、新しいサービスの形が生まれています。SaaSという言葉はかなり一般的になってますので、今日、ご視聴されている皆様の中でも聞いたことがある方も多いんじゃないかと思います。
ソフトウェアを、いわゆるクラウド環境でサービスとして提供する、それがSaaSと呼ばれるものです。
これまでのソフトウェアと一体何が違うのかというと、要はサービスとして提供されているが故に、アップデートされていくところが一番のポイントなのかなと思っています。
SaaSは主に月額、いわゆるサブスプリクションのような課金形態で提供されているケースが多いです。
自社の環境に組み込むソフトウェアだと、アップデートするたびに、それこそ1回1回開発費として自社のお金が掛かってしまいます。SaaSの場合は、基本的には不特定多数のお客様にサービスとして提供しており、月額で提供しているからこそ継続して使ってもらう必要があります。ですので、お客様の使い方によってサービス提供者自体が随時サービスをアップデートされていくというのがポイントです。
抱:そうですね。その中でちょっと以前に「これからはシステムの開発力だけではなく、編集力っていわれるものが問われる」というようなお話をお伺いしたんですけれども。その辺についてもお聞かせいただけますか?
DX人材に求められるシステムの編集力
内村:本日聴いていらっしゃる皆様の中にも、例えば経理担当が使う会計システムでSaaSのサービスを導入されている方なんか多いかもしれませんが、SaaS型で提供されるサービスは、日に日に増えています。
ですので、自社で一から開発するというより、いかに自社にとって有用なものを見つけて組み合わせて利便性を上げていくのか、そういうスキルがこれから様々な会社で求められていくんじゃないかと思います。
抱:なるほどです。そのDXを推進していく人材、よく言われるのは社内データサイエンティストという人だったりしますが、データエンジニアリング力、それからデータサイエンス力、それからビジネス力なんて言われるものの、バランスが取れる人材が非常に重要視されるような時代が来ると考えている、ということでよろしいでしょうか。
内村:そうですね。新しい技術を知って、それを活用できる人。一番の大事なことは、その人が「社内にいる」ことじゃないかと思います。
どんなに優秀なデータサイエンティストでも、その会社のビジネスや、例えばどんな作業工程の中で取ったデータなのか分からなければ、そもそも分析できなかったりするので。
やっぱり自社内に、データサイエンティストまではいかなくても、システムやAIを開発したりはできないんだけれども、ちゃんと自社のビジネスが分かっている人間が、「どういったものを活用すれば良いのか」を考えられるようになることが、ベストなんじゃないかなと思います。
抱:なるほどです。そうやっていろいろSaaSで提供されていくものを、社内のDX推進の人材を中心とした、自社開発というよりは、いっぱいあるSaaS自身を編集してコンポーネントして。その中にはAIも含まれますし、我々のような生産管理システムというのも含まれていて。サービスで提供されたものを編集し、コーポレートする力が求められている。
そういう時代だと考えてよろしいでしょうか?
内村:そうですね、まさにそうだと思います。
システム開発を外注するにしても、ベンダーさんに丸投げじゃなくて自社でハンドリングできるようになった方がいいですよというのが、DXレポートでも言われていることです。
スカイディスクもベンダーという立場だったりもするので、うちが言うのも何なんですけれども。自社のことは自社でちゃんとハンドリングして作っていくことが、これからの企業に求められていくと思います。
抱:いろんな提供されるサービスを前提としながら、それを自社の成長プランに対して選択をして、それを組み合わせていくといいますか、先繰りするといいますか。そういうふうな能力ですね。
その中で生産管理はいろいろな要素が含まれる、人材を養成して、AIや生産管理を構築していく、DXを身近なもので推進していくのが1つ目に重要で。それらは全てサービスという形で提供されているよということですね。ありがとうございます。
これは1つ鑑識眼といいますか、サービスを見分けていく能力、自社とのビジネスモデルとの適合性を見抜いていくような、そういう能力も必要になるのではないでしょうか。