自社ビジネスにAI技術を取り入れるために、製造業の知見をAI技術者に伝えられる人材を育成する
取得したデータを分析し、お客様に有用な形で提供したい
我々の開発部署では、新技術を用いたデータ分析手法の確立に取り組んでいます。例えば、弊社で最近開発した製品に、センサーを内蔵したカップリング(軸継手)という、トルク(物体を回転させる力のモーメント)を検出できる回転部品があります。このように取得したデータをどう分析するかが、我々の次なる課題です。取得したデータをお客様にとって有用な情報に変換して提供することを考えており、AIはその手段の一つです。
AI技術を育てられるチャンスを逃さないよう、社内教育を選択
AIに着目し始めたのはここ2〜3年ですが、2020年に取り組みが本格化しました。様々なツールを試したり、Pythonを触ってみたりと社内で試行錯誤をする中で、どういう風にAI技術を社内に取り組んでいくのかが課題となっていました。外部ツールを使うにしても、パラメーターの選び方は自分たちで理解しなくてはいけません。2020年の夏頃に「いま困っていることをご相談してみよう」と、数年前の展示会で出会ったスカイディスクさんにお声がけしたところ、社内教育という選択肢をいただきました。
開発分野において外部のパートナー企業と、教育という形での関わり方をするのは初めてだと思います。AIについては、大事なポイントは社内に技術として残したい、せっかくこれから育てられる技術なのに、全部お任せしてしまうとチャンスをみすみす逃してしまうと感じていました。
我々の社内には製造業としての知見があります。必要とするのはAIを完璧に作る人間ではなく、その知見をAI技術者に伝えられる人間を育てることです。外部に開発を依頼したとしても、それを理解する人間が社内にいることが重要です。社内の知見をスムーズにAIに取り込むために、そのための教育がまずは必要だろうと判断しました。
スカイディスクには、製造業ならではの話を相談できた
講習を受講してみて、実際どんなことがAIでできるのか、ぼやっとしていたイメージを具体化できました。一番なるほどと思ったのは「前処理」です。様々な前処理の手法があり、それによって最終的なモデルの精度に影響することを実演していただきました。さらに「モデルの精度」と言いましたが、モデルの評価方法も新鮮な学びでした。
また、講習では時系列データについて様々な手法をご紹介いただき、そういった製造業に特有なデータ形式の扱いは流石と思いました。打ち合わせなどでも痒いところに手が届く回答をいただいています。受講後には、幅広く学んだことを手がかりに自分で調べながら手法を試しています。今後も質問を投げさせてもらいつつ、出来るところまでやってみようと思います。
今後の期待
AIはすごい、と言っても、それでは何に適応できるのかと考えると、すぐ出来ることはそう多くありません。データ形式によっては、別にAIを使わなくて良いこともあります。技術的にできることよりも、お客様側の視点で、これを実現すれば有用なサービスになることを考えていきたいです。まったくエビデンスがない訳にはいかないので、情報を集めて検証を重ねつつ、さらに上のサービスを新たに提案していきたいと思っています。
段階的に、まずは今まで時間がかかっていたことをコンピュータにやらせよう、ということがスタートかと思います。そして今まで不明瞭だったことやデータ化できなかった暗黙知などをAIを使って見出し、有効活用することが次に目指すところだと思います。私自身としては、新しいセンサーとAIを用いて「え、そんなことできるの?」という、今まで人間ができなかったところに挑戦していきたいです。
<2020年11月取材 文・スカイディスク 福間>
[ 関連リンク ]
製造業技術者向けAI研修 オンライン実施事例
https://skydisc.jp/showcase/2480/
実証実験(PoC)内容に関するAI研修の実施事例
https://skydisc.jp/showcase/2745/
社内AI人材育成サービス
https://skydisc.jp/education/