中空糸膜 孔径サイズのバラツキ要因分析と予測

中空糸膜 孔径サイズのバラツキ要因分析と予測

旭化成メディカルMT株式会社プラノバ工場で開発・製造している、ウィルス除去フィルター「プラノバTM」の中空糸膜製造において、孔径サイズのバラツキ予測と要因分析を行いました。

プラノバTMは、そのフィルターを通すことでバイオ医薬品などからウィルスを除去する製品であり、品質においてフィルターの孔(あな)サイズの均一性が重要です。原液組成に関わる各成分の濃度データをはじめ、数多ある生産条件からどれが孔径サイズに影響するのかを分析しました。結果、データ未取得の重要な生産条件(説明変数)があることが示唆されました。

[ プロジェクトのポイント ]

- 「プラノバTM」は、品質において中空糸膜の孔径サイズが均一であることが重要
- 数ある生産条件から、どれが孔径サイズに影響するのかを分析した

提示された課題

- 中空糸膜製造において、孔径サイズのバラツキにより製品の収率が低くなっていた
- 製造工程の最終段階である温度制御によって、孔径サイズのコントロールを試みていた(後追い制御)。本来であれば、事前制御で孔径サイズをコントロールしたい
- 生産条件が数多く、最適化に向けてどこから手をつけて良いか分からない

目的
・ 中空糸の孔径バラツキに影響する変数を明らかにする
・ 生産条件の最適化を目指す

問題解決までのアプローチ

本プロジェクトは大きく3つのフェーズに分けられます。現在までにフェーズ2まで進行しました。

1.品質予測を行うAIモデルを作成

製造のプロセスデータと、製品の素材となる原液データを学習データとして、バラツキを予測するAIモデルを作成しました。
・インプット(説明変数) :製造のプロセスデータ、原液データ(構成成分の各濃度など)
・アウトプット(目的変数):孔径サイズのバラツキ(良品不良品)

2.調整可能な変数を洗い出す

作成したAIモデルから、どの説明変数が孔径のバラツキに影響しているのか要因分析により洗い出しました。すると、現場で「この生産条件が影響しているはず」と考えられていた説明変数の寄与率を足しても100%にならず、隠れた生産条件の存在が示唆されました。

3.生産条件を最適化

新たな仮説をもとに、現在は不足データを測定中です。将来的には、生産条件の最適化を目指しています。

AI導入にあたってのポイント

スモールスタート

プラノバ工場では、複数の生産条件というインプットデータと、どのような製品ができたかというアウトプットデータを紐づけて取得していました。そのため、検証をスムーズに開始することができました。

現場の課題感

長年、プラノバ工場の技術者の方々が「生産条件と品質の因果関係を紐解きたい。」という課題感を持っていたため、無理なくテーマを設定できました。また、スカイディスクのAIエンジニアと互いの知見を出し合って、ディスカッションをしながらプロジェクトを進めることができました。


宮城県延岡 プラノバ工場

[ プロジェクト概要 ]
エンドユーザー 旭化成メディカルMT プラノバ工場
パートナー AJS
プロジェクト開始時期 2018年1月(現在進行中)
※本掲載内容は、2019年3月時点での情報です。

※スカイディスクは、2017年10月に包括提携を結んだAJS株式会社様とともに旭化成グループ内へのAI導入を進めており、本プロジェクトはそのひとつです。

[ 関連リンク ]

「お客様に信頼される高品質を守りたい」製造工程の要因分析で、ウイルス除去フィルターの品質安定性を高める
https://skydisc.jp/showcase/1534/

スカイディスクとAJS、総合化学関連業界向け AI・IoTサービスに関する基本合意書を締結
https://skydisc.jp/information/903/

AIが品質向上に効くパラメーターを発見、旭化成メディカルMTプラノバ工場(日経 xTECH 2019/05/22)
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00621/00008/

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