株式会社サイダ・UMSとの生産計画DX対談「DXは人を幸せにするために。生産計画DXへの挑戦」

左から、スカイディスク 代表取締役CEO 内村、 サイダ・UMS 代表取締役社長 斎田さま

サイダ・UMSは、2021年に創業100周年を迎えた焼津の精密工作機械メーカーです。漁業が盛んな静岡県焼津市で、船舶のディーゼルエンジン部品の製造・加工を請け負う会社として創業した同社は、40年ほど前から工作機械市場に参入し、工作機械を中心としたOEM事業が現在の主力事業となっています。
社長交代とコロナ禍をきっかけとしてDXに着手。今回は斎田社長にDXに取り組む意義と、生産計画DXへの挑戦についてお伺いしました。

株式会社サイダ・UMS 代表取締役社長 斎田 匡男 氏

コロナ禍から始まった、DXへの取り組み

当社のDXは社長として代替わりしたタイミングとコロナ禍が重なって始まりました。コロナ前は日々の業務に追われがちだったものが、コロナ禍になり時間に余裕が出来ました。今後の業績に対する危機感もあり、部長陣3名と中長期的な会社の在り方について徹底的に議論することとし、会社の強みの精査や大切にすべき価値の言語化などについて時間をかけて話し合うことが出来ました。

こういった議論をする中で共通認識として出てきた一つの方向性は、人がすべて手作業でこなすことの限界と、効率化の必要性です。例えば、20代の人材を中心に採用を強化していく中で、残業を是とすることで業務をどうにか回していく、という以前の仕事の進め方は受け入れられない状況となっています。また、当社には多くの熟練工が在籍していますが、年齢の問題もありずっと働き続けてもらえるわけではありません。彼らが持つ匠の技術を、いかに効率的に継承していくかは会社の競争性を維持していく上でとても重要です。

その人でなければできない仕事をやってもらい、その人がやらなくてもいい仕事を出来るだけ効率化する。つまり人が本業に集中できる環境を構築することが喫緊の課題ではないか、という結論に達し、DX化を推進することとなりました。

日々の業務のデジタル化から生産計画DXへ

こうして当社はDXへの取り組みを開始しました。初歩的な話なのですが、当社のDXはインターネットへの接続について有線LANを無線LANに切り替えるところから始まりました。次に、社内の情報インフラをクラウド化することに着手しました。

Google Workspaceを導入し情報伝達から業務管理まで、広く利用する体制を整えました。これは、管理部門だけでなく製造部門も同様です。工場スペースに大型ディスプレイを導入し、これまで手書き・口頭で行っていた工場内での情報伝達、例えば在庫確認・発注業務やスケジュール管理等もリアルタイムで出来るよう仕組みを変えていきました。
これによりコミュニケーションが集約され、情報が集約されることで検索性や、それによる意思決定の速度が大幅に改善しました。

社外へのコミュニケーションについてもDXを意識しています。当社は「VERSEC (ヴェルセック)」というブランド名で自社製品の汎用旋盤を展開しています。
ブランド認知を強くしていく必要性と、展示会だけでなく、製品の良さを知ってもらう機会を増やすという観点から、自社サイトや自社SNSによる情報発信にも着手しています。
コンテンツマーケティングや、ウェブ上でのコンバージョンを促す取り組みに着手し、MAツールの導入なども検討しています。

自社製汎用旋盤ブランド「VERSEC(ヴェルセック)」を展開

現在着手中の取り組みとして、社内の基幹システムのアップデートにチャレンジしています。これは、生産管理を軸に、データを一元管理し、経営判断に活用していく取り組みです。この取り組みを推進する一環として、「最適ワークス」の導入や生産計画DXへの着手も開始しました。

基幹システムと連携して生産計画が立案される、実際に活動した成果を把握する、予実管理を行うことで製造活動を改善していく、という流れをシームレスに行うことが目標です。

DXを推進するために気にしているいくつかのこと

DXを推進する中では、いくつかの点に留意しつつ取り組みを進めています。まず一点目として、DX推進に限った話ではないですが、情報は経営判断に活用できる貴重な経営資源である、ということです。
DX関連の情報については、展示会への参加を積極的に行い収集しています。例えば、地元静岡で毎年開催されているTECH BEAT Shizuokaには1回目から参加していて、ここで「最適ワークス」も知ることになりました。
加えて、静岡県内で積極的にDXに取り組んでいらっしゃる経営者との情報交換を通して事例を知ることで、当社内での施策にも活用しています。

TECH BEAT Shizuoka 2022の様子(公式Facebookより)

次に、目的と手段の混同を避けるということです。特にDX領域については、一見便利そうに見えるツールやソリューションが多くあります。つい便利そうだから導入してみようか、という気になってしまうこともあるのですが、そういう時には、必ずWhy(なぜ導入するのか)に立ち戻って考える様にしています。

当社の場合、「人が本業に集中できる環境を構築する」という実現したい環境があり、それを実現するための中間目標としてクラウド管理環境の構築や、生産計画DXがあります。
これらの目的、目標に合致するサービスかどうかを考えないと、システムを使う為に新たな業務が発生するなど、本末転倒な結果となってしまう懸念があります。

最後に、スモールスタートと、小さな成功体験を積み重ねるということです。
「最適ワークス」の導入を決めた際、社内からは基本的にはポジティブな反応を受けました。現在生産計画は、現場を熟知したベテラン層しか作れない状況です。即応性が求められることもある事業環境下で、これが大きな制約となっています。「最適ワークス」を導入し誰でも生産計画が立案できるようになると、ベテラン層の負荷が軽減され、その代わり他の業務をこなすことが出来るようになります。

期待値が大きい分「本当に出来るの?」という疑問も現場には正直あります。
DX投資は一足飛びに結果が出るものというよりも、少しずつプロセスを設計し、運用をする中で徐々に成果がでるものです。まずは大体の工程の計画が出力できる、手直しが必要でも生産計画立案業務にかかる時間が短縮された等、現場の小さな成功体験を積み重ねて経営、現場サイド双方の納得感を得ていく事が重要だと感じています。

DXは人を幸せにするために

コロナ渦で部長陣と議論してきたことで一番重要な共通認識は、社員が働くことで幸せになる環境を作っていく、ということです。英語で「幸せ(happy)」という単語を調べたところ、「人生に満足していることにより、喜ばしい感情を持っている状態」と説明されていました。人生において、仕事が占める時間的割合は非常に大きいものです。当社の文脈で理解すると、いかに社員の仕事時間を充実させるか、つまり付加価値が高い仕事を担ってもらい、そこに集中して成果を出すかが、仕事の満足度に直結するものと考えています。

生産計画DXを含めた各種DXの取り組みは、人が本来取り組むべき領域に集中できる環境をつくることで、関わる人すべての時間価値を高めていく、という取り組みです。DXを通して、従業員が成果と幸せを実感できる会社にしていきたいと思います。

生産計画DXの対談動画をYouTube公開中!


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※生産計画DXとは、日々の製造活動のDXを推進し生産計画を可視化し、実績との差異を把握することで生産業務の改善活動に取り組むだけでなく、経営判断の指標としても活用し、受注・投資活動や社員教育等の指標としても活用し、DXを通して会社全体の生産性を改善していく取り組みのことを指します

会社情報 株式会社サイダ・UMS

Webサイト
所在地:静岡県焼津市一色143-10
代表者:代表取締役社長 斎田 匡男
設立:1958年5月(創業 大正10年8月)
事業内容:工作機械、半導体製造装置、車載用電池製造ライン設備関連、その他、産業用機械の製造、自社製品(汎用旋盤VERSEC-neo等)の開発・設計・販売
従業員数:40名

UMS

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