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製造業におけるIoT導入におけるメリットと得られる効果とは

大企業を中心に製造業においてIoTを導入する企業が増加しつつあります。そのうえで、この記事では、製造業にIoTを活用するメリットや導入事例を元にIoTで得られる効果について解説します。

IoTやIndustry 4.0とは

IoTやIndustry 4.0はスマートファクトリーを考慮する際には、必ず触れる単語です。それぞれの意味合いについてみていきましょう。

IoTとは

IoTは、Internet of Thingsの略称です。あらゆるものをインターネットでつなぐという考え方のことを指します。製造業にIoTを導入した場合、室内の温度調整の自動化、人員・機械の稼働管理など、人の手ではどうしても難しかった管理を自動的に行うことが可能です。

また、IoTの市場規模は年々拡大しています。IoTを導入・検討している企業は大企業だけに留まりません。そのため、今後の製造業ではスマートファクトリーとして稼働する企業が増加したうえで、生産性を向上させていく動きが予想されます。

製造業にIoTの導入した場合、生産性を飛躍的に向上させることが可能です。そのうえで、IoTをどのように活用していくのかというテーマは、製造業の新しい課題の1つとなりつつあります。

Industry 4.0とは

Industry 4.0とは、2011年からドイツ政府が提唱しているインターネットを活用した製造業に対する考え方です。Industry 4.0では、IoTだけでなく、ビッグデータ、AIなどインターネットを介して、あらゆる作業や管理の自動化とデータ化に取り組みます。

また、Industry 4.0は製品の生産だけでなく、流通や保守に至るまで管理することが可能とするものです。例えば、「大量生産ではなく1つ1つ使用の違うものを作りたい」「センサーや計測機によって仕様の違いを見抜き故障を防ぐ」といったことも可能となります。

IoTの場合は、ものとインターネットがつながるという考え方です。対して、Industry 4.0はものだけでなく、業務やもの同士が複合的につながることも含めます。Industry 4.0はより大規模な産業の変化を表すものだといえるでしょう。

製造業へのIoT導入でできること・メリットとは

製造業にIoTを導入した場合、あらゆるものをデータ化・自動化することが可能です。そのうえで、IoTで可能になることやメリットについてみていきましょう。

データの見える化

製造業にIoTを導入するメリットの1つとして、データの見える化が挙げられます。例えば、人によって管理できなかった異常音などのデータを収集・分析するといった方法が可能です。 例えば、保守・点検を人の手で行う場合には、感覚の違いによって判断が異なります。しかし、IoTを導入した場合、その判断はデータに従ったものとなります。そのため、誰であっても正確な判断が行えるようになるでしょう。コストや時間の削減に効果的だといえます。

生産工程の見える化

製造業にIoTを導入するメリットとして、生産工程の見える化が挙げられます。生産工程のデータを収集・分析することによって、あらゆる業務を自動化する・効率化するといったことが可能です。 例えば、生産管理などにおいて紙を使用していた場合、IoTの導入によって

  • 紙が不要になる
  • 時間的余裕が生まれ、生産性が向上する
  • 確認の自動化が可能になる

といった変化が期待できます。 また、生産工程をデータ化することによって、稼働状況の改善なども可能になるでしょう。

システムの異常や故障の検知

製造業にIoTを導入するメリットの1つとして、システムの異常や故障を自動的に検知することが可能となる点が挙げられます。 あらゆる機器はすべて消耗品です。そのため、システムの異常や機器の故障は意図していなくても起きる可能性がいつでもあります。また、わかりやすい異音などでなければ人間ではシステムの異常などに気付けないことも少なくありません。 IoTを導入した場合、そうしたシステムの異常や故障をセンサーなどで判断し、重大な損失が起きる前に対策することが可能です。

データを活用した新規サービスの開発・提供

製造業にIoTを導入した場合、社内のデータを収集・分析し、業務の自動化が可能となります。そのうえで、データを活用した新規サービスの開発・提供も可能となる点は大きなメリットとだといえるでしょう。 例えば、製品の追跡や制作にあたって自社にしかないノウハウを作成できた場合、サービスとして他社に提供することが可能です。特に製造業に関しては、自社のサービスや製品が他の企業にはないものであることが多いといえます。そのため、自社の生産性を向上させた手法やシステムそのものが他社にとっても有益であることも少なくありません。

製造業にIoTを導入する際の流れ

製造業にIoTを導入する場合、いきなり自動化することはできません。一定の流れを踏む必要があります。ここでは、IoT導入までの流れについて焦点をあてていきます。

データの見える化

製造業でIoTを導入する場合、必ずデータ収集・分析を行うデータの見える化が必要になります。事例として、製品は決まった工程を無視した場合、製品が完成に至ることはなく、自社の基準を満たすことも不可能です。 さらに、投入→加工→出荷 といった工程を踏むのであれば、加工の段階で異常があった場合、製品を出荷することができません。

しかし、IoTを導入した場合、機器の異常や通常稼働のデータを蓄積することによって、AIがメンテナンスの可否判断や現場の人間に対する適切な指示をすることが可能です。 この際、課題として設備のどのようなデータが必要になるのか、どのような機器を使用してネットワークでつなぐのかなど考慮しなければなりません。例えば、工場の大きさにもよるものの、ケーブルだけで全ての機器を繋ぐには無理があります。加えて、有線などであれば切断される可能性もゼロではないでしょう。 こういった課題を洗い出し、クリアすることによって製造業にIoTを導入していきます。

分析したデータを元にシステムの制御

製造業にIoTを導入する場合、データ分析のあとはどのようなシステムをAIによって制御するのかを決定します。 例えば、空調と外気の温度調整などは制御されていなければ、人の手で行う必要があります。しかし、温度調整をAIに制御させ、エネルギーを抑えるといった事例が既にあることからAIによる制御は有効な手段だといえるでしょう。

機械・システムの自動化

製造業にIoTを導入する最後の流れでは、機械・システムの自動化が行われます。機械・システムの自動化は、データを抽出した設備やシステムに対して人間の判断を必要とせず AI に全て任せるといったものです。

定期的なメンテナンスなどは必要であるものの、人間が管理せずとも製品の出荷可否の判断や人の目ではわからない製品の差異の判別なども可能となります。
IoTの導入によって、時間とコストを削減し、生産性を飛躍的に向上させることが可能だといえるでしょう。

 

製造業にIoTを導入した事例

IoTは市場規模が拡大しているだけでなく、実際に 製造業に 導入され効果をあげています。ここでは、IoT を導入した事例について紹介していきます。

設計から生産まで一気通貫のシステムで管理した事例

製造業のIoTの導入で設計から生産までの流れを見える化して管理できた事例を紹介します。 この事例では、IoT の導入前は、設計と生産は別分野として別れており、設計に対する製品の再現性を検証することも一苦労でした。例えば、半導体や自動車部品などを3D CAD で設計したとしても、独立。分離されていることから生産工程の生産性は落ちます。

しかし、 IoT を導入したことによって、あらゆるデータを見える化、ネットワークで生産設備を連携したことによって、製品の細かい加工・比較が容易となりました。また、生産設備の稼働状況も遠隔地から確認可能となるなどの変化も。そして、生産性は1.2倍以上増加しています。IoTによって業務効率・生産性が改善した好例だといえるでしょう。

目視だと分からない物をシステムでの検知に移管した事例

製造業に IoT を導入する事例の1つとして、人間から AI による判別・検知システムに移管したものを紹介します。 この事例の企業では、1つの製品単価があまり高くないものを大量に販売することによって利益を得ることが目的でした。しかし、 IoT の導入前は24時間365日稼働していても、管理者に負荷が大きく、機器のトラブルを未然に回避することも難しい状態でした。

しかし、 IoT を導入したことによって、各工程における機器の稼働状況のデータを見える化し、目視では把握できなかった稼働状況を検知することができる新しいシステムを構築。結果として、生産性は1.5倍増となったものの、人員は全く増やしていません。IoTの役割を効率的に使用できた事例となりました。

データの見える化で原料や材料を最適に利用

製造業の IoT の導入事例として、データの見える化によってコスト削減が成功したものを紹介します。 この事例の企業では IoT の導入前は、自動車の部品などを請け負いつつ、製品の情報などは紙でやりとりしていました。そのため、原料や材料の管理が非常に手間のかかるものとして、従業員に負荷がかかっていました。

しかし、 IoT を導入したことによって、あらゆる業務を最適化。紙でのやりとりはなくなり、データによる管理で手間とコスト削減に成功しました。また、データによる管理に移行したことによって在庫や受注なども行えるようになり、コストカットだけでなく生産性の向上にもつながっています。

それぞれの企業に適した IoT を導入していくことによって、業務の効率化やコストのカットなどの効果を望むことが可能です。

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